原状回復・・特約の有効性
質問:襖の張り替え・畳表の取り替え・クロスの張り替え・ハウスクリーニングの費用を賃借人の負担とする特約の効力はありますか。
原状回復の条文の解釈
質問:賃貸借契約を締結し、部屋を賃借していましたが、賃貸借契約のほかに覚書が作成されており、それぞれ以下の規定がなされていました。この場合、賃貸借契約終了時の修補の負担はどのように解釈されることになるのでしょうか。
賃貸借契約書
第●条
「本契約が終了したとき賃借人の費用をもって、本物件を当初契約時の原状に復旧させ、賃貸人に明け渡さなければならない。」
覚書
「本物件の解約明渡し時に、賃借人は契約書第●条により、本物件を当初の契約時の状態に復旧させるため、クロス、建具、畳、フロア等の張替費用及び設備器具の修理代金を実費にて清算されることになります。」
原状回復に関する合意
質問:以下の場合において、事業者である賃借人はいかなる範囲で原状回復義務を負うことになりますか?
(1) 賃貸借契約には以下の規定がなされている。
賃貸借契約書●条●項:
乙(賃借人)は自己の負担で第●条により施設した内装・設備を撤去して貸室を原状に復し、乙(賃借人)所有の一切の物品を建物外に搬出しなければならない。
(2) 賃借人が賃貸人に対し、賃貸借契約の期間満了をもって賃貸借契約を終了したい旨の申入れをし、賃貸人はこれを承諾した。
(3) 期間満了の10日ほど前に、賃貸人と賃借人が賃貸物件で会合を持ち、原状回復工事の範囲について、賃借人が以下の補修等を行う旨合意された。
①間仕切りすべての撤去
②地下1階から3階までのクロスの張り替え
③床のタイルの破損の補修
④床、トイレ、流し台のクリーニング
⑤地下一階の非常灯の補修
原状回復費用・・商業ビルと住宅の違い
質問:原状回復の費用負担について、商業ビルと住宅では考え方は異なるのでしょうか。
賃借人が殺害され部屋に血痕が・・
質問:貸室内で賃借人が殺害され血が飛び散る等したため、修繕を余儀なくされた。この修繕等の費用は誰が負担すべきか?
原状回復工事を行わない場合
質問:原状回復を行わなかったとき、いただいた費用を返還しなければならないか。現在、当社では原状回復費用として畳の表替、襖のはりかえ等を特約にいれて退去時にいただいています。最近、畳の部屋も若い人が好まないため、退去精算時にいただいたお金をリフォーム代に当てて洋室に変更しています。今回の相談は、退去者が退去後にアパートに行き、洋室に変更している部屋をみて、「自分の原状回復費用を返せ」と言ってきました。
そこで教えて頂きたいのですが、退去者より原状回復費用としていただいた項目以外のリフォームを行い、次の募集を行った場合は、退去者へ返却しなくてはいけないのでしょうか?
工作物責任1
質問:当社は、都内に築約13年の4階建てのアパートを所有して賃貸をしており、その賃貸物件の保全点検等の管理業務についてはM社に委託しております。先月、当該アパートの4階の賃借人をその知人のAさんが尋ねてきたのですが、Aさんが3階から4階の外階段を上っているときに、突然階段が倒壊し、Aさんは階段もろとも3階部分に転落し、左足を骨折してしまいました。
本件事故の原因は、階段の踏板、蹴上げ部分と左右の鉄板桁との溶接部分が、本来は全面溶接をすべきところが、点溶接のみで固体されていたという溶接工事の手抜きによるもので、それが時間の経過とともに溶接部分の腐食、分離が進行し、偶々、Aが階段を上っているときに耐力の限界を超えて崩壊したものでした。なお、本件階段は接続面も含めて外観はセメント仕上げとなっており、その接合状況は外部から見えない状態でした。当社は本件事故に関し、Aさんに対し損害賠償の義務があるでしょうか。また、M社はどうでしょうか。
工作物責任2
質問:私は、A社所有のアパートの一室をA社より賃借して弟と一緒に居住していました。最近、本件建物に設置されていた、強制排気式の大型ガス湯沸器の調子が悪く、使用中に火が消えたりすることがあったものですから、ガス会社に点検してもらうとともに、湯沸器の使用中は換気をするなどの注意をしてきました。
ところが、たまたま私の留守の際、弟がガス湯沸器を使用したところ、湯沸器に接続する排気筒の先端部分(天井裏から外壁を貫通する部分)に設置されていた防火ダンパーの誤作動により排気筒が塞がれていたため、適切な排気が妨げられ、ガスが不完全燃焼を起こして居室内に一酸化炭素が充満し、室内にいた弟が一酸化炭素中毒で死亡しました。この事故において、弟の相続人は、湯沸器や排気筒を設置した賃貸人であり建物所有者であるA社に対して損害賠償の請求ができますか。
工作物責任3
質問:私の長男は、3階建ての補強コンクリートブロック造のマンション(昭和39年建築)の一階の居室を賃借して居住していましたが、昨年発生した震度7の大地震によって、マンションの一階部分が押しつぶされて、そのため長男は死亡しました。その後の調査によって、本件マンションは、設計上も壁厚や壁量が不十分であり、施工上もコンクリートブロック壁に配筋された鉄筋の量が十分でない上、その鉄筋が柱や梁の鉄骨に溶接されていないため壁と柱が十分緊結されていない等の重大な不備があり、本件マンションは、建築当時を基準にしても建物が通常有すべき安全性を有していなかったことが原因と考えられています。しかし、所有者兼賃貸人のA社は、本件マンションは、震度6程度の地震に耐えられる程度の構造を有し当時の耐震基準は満たしており、一部倒壊したのは想定を超えた大地震が発生したためであると主張しています。
本件マンションの周辺では被害の発生していない建物も多く、本件マンションでも1階に住んでいて押しつぶされなかった住民もいます。私は、長男の相続人として、所有者であるA社と、当時賃貸借契約を仲介したB社に対して損害賠償請求をしようと考えていますが、私の請求は認められますか。
漏水による損害賠償請求
質問:私は、あるマンションの601に居住していますが、先般の豪雨の際、上の部屋である701号室にベランダから大量の雨水が浸入し、その雨水が私の部屋に大量に進入した結果、天井が一部抜け落ちたり、壁、床、家具等を汚染し、そのため内装工事や、その間のホテル生活を余儀なくされたことにより多額の損害が生じました。本件の漏水の原因は、701の居住者(賃借人)がベランダの南側の排水口にたまったゴミなどを掃除しなかったことにより排水口がつまったことと、701号室のベランダの東側の排水口のところに701号室の所有者によってサンルームが構築されており、東側の排水口の清掃をすることが困難な状況にあったことと、ベランダがタイル張りのために底上げされていて、そのため、ベランダに水がたまるとすぐに701号室に雨水が浸入しやすい状況にあったことなどが損害の拡大に影響したものです。私としては、701の入居者と所有者に対して損害賠償請求をしたいと考えていますが、私の請求は認められますか。
自力救済の禁止の原則
質問:当社は、マンション等の賃貸業を行っていますが、先般、賃料も支払わず連絡がとれなくなってしまったAさんの住戸について、賃借権を放棄したものと考え、鍵を壊したうえ、中の残置物を処分しました。ところが、Aさんがこの処分行為について、大切なアルバム等を勝手に処分されたとして当社に対し損害賠償を請求してきました。
当社としては、Aさんが6ヶ月分の賃料を支払わなかったので、たびたび督促の書面を投函し、玄関に連絡をされたい旨の張り紙を行ってきました。そして、今年の3月1日には、3月8日を期限とする督促状を本件建物内に投入し、玄関ドアにも重要書類を投入した旨記したシールを貼付し、さらに、3月10日には同月17日までに当社営業所に出頭されたい旨の招致状を玄関ドアに貼付しました。しかしAさんから何の連絡もなかったため、同月25日、本件建物に赴き、鍵を破壊し、中に立ち入ったところ、Aさんはどこかに転居したと見られ、内部は、畳が腐り、襖も破れ、清掃もなされておらず、かなりの量の家具等の残置物も乱雑に放置されていました。そこで、当社は、Aさんは賃借権を放棄し、残置物の所有権を放棄していると考えて、残置物を全て搬出して処分したものです。その処分の際、電話機が室内にありましたが、その使用状況や、電気、ガス、水道等の使用状況の調査はしなかったところ、実際は、これらの基本料金等は支払われており、電話、電気、ガス等は使用できる状態でした。Aさんはマンションを購入して本件建物から転居しましたが、娘さんのために、本件建物は借りたままにしておこうと考えていたようです。このような状況における当社の残置物の処分は違法で、Aさんに対し損害を賠償しなければならないでしょうか。
失火と賃借人・転借人の損害賠償責任
質問:私は、A社に木造建物を賃貸していますが、先般、A社が椅子の製作会社であるB社に転貸したいという申し出を受けたのでこれを承諾しました。ところが、先日、B社の従業員であるOさんとその部下のBさんの火の不始末から火災が発生し、本件建物と、すぐ隣に建っていた私の所有建物が焼失してしまいました。火災の原因は、本件建物内は、引火性のある危険物、燃焼力の強い材料、毛布等が常時保存されている椅子製作の作業場で、従業員のO氏とB氏のいずれかが吸ったタバコの火種(どちらが吸ったタバコか特定はできません)が毛布等の上に落下したことに気付かず放置したことにより火災が発生したものでした。
私は、Oさんと、Oさんの勤務先であり転借人のB社、そして賃借人のA社に対して建物の焼失につき損害賠償を請求しようと考えていますが私の請求は認められますか。
修繕特約の効力
質問:私は、2年前にマンションを借りて住んでいますが、今般、マンションの電気温水器が故障したため、賃貸人を通じて業者に見てもらったところ、修理が不能ということで、新しいものに取り替えてもらいました。その取り替え費用は約20万円ほどかかったのですが、賃貸人は、賃貸借契約において、給湯器の取り替えにかかる修繕費は賃借人の負担で行うとの約定があることを理由に、私に修繕費を負担するよう請求してきています。私は、賃貸人の請求に応じなければならないのでしょうか。
建て替えの場合の正当事由
質問:私は、麻布十番のメインストリートに面している土地に、昭和30年に建てた木造2階建ての建物を所有して、その2階に居住し、1階部分をAさんに賃貸しており、Aさんは、そこで高級下着店を営んでいます。ところで、本件建物は築50年を経過し、老朽化していますし、地盤の不同沈下等により2階にかなりの傾斜が生じていますので、私としては、商業地域にある本件建物敷地の有効利用のために本件建物を取り壊して、高層ビルを建築したいと考えています。そこで、私は、Aさんに対し、賃貸借契約の解約を申し入れしましたが、Aさんは、近くに地下鉄も開通し、高級住宅地に近く、高級下着店としては絶好の立地条件であり、同様の立地条件を具備する代替店を確保することは困難であるとして難色を示しています。そこで、私は、1000万円程度の立退料を提示してAさんに立ち退きを求めたいと考えておりますが、わたしの請求は認められますか。
宣伝内容と実際との不一致と賃料の減額請求の可否
質問:私は、眺望、日照、通風などの自然の恵みを最大限に得られるなど、ハイグレードな生活を享受できると宣伝して借り手を募集していた賃貸マンションについて、賃料は高めではありましたが、その触れ込みを信用し、質の高い住環境が得られるものと期待して、賃貸借契約を締結して入居しました。ところが、入居当時、まだマンションは工事中のところがあり、その騒音やほこりに悩まされ、また、室内で雨漏りが発生し、そのために深刻なカビの被害が生じました。さらに、居室の防音工事も充分ではなく、廊下や通路の物音が良く聞こえるなど、到底、期待した質の高い住環境が得られたとは言えない状況です。そこで、賃料の減額請求したいと考えていますが、私の請求は認められますか。
抵当権に対抗できない賃貸借の敷金保護
質問:抵当権に対抗できない賃貸借における賃借人の敷金は、競売による競落人に請求することが出来ませんが、事前に保全をすることは出来ないでしょうか。
仲介会社の説明義務違反
質問:目の前に建物が建設されることを知らずに賃貸借契約を契約した場合、かかる事実を説明しなかった仲介会社に対して、重要事項の説明義務違反として、転居費用等について損害賠償請求ができますか。また、入居した部屋は1階であり、工事の音は酷いうえ、日照も妨げられています。入居者は、これらを理由として賃料の減額を求めることはできますか。
なお、仲介会社は、建築計画を知らなかったと主張し、また、建築計画が周囲に表示されていたような事情もなかったようです。
仲介会社の説明義務違反2
質問:入居者が仲介会社を通して新しく部屋を決め賃貸借契約を締結して入居した後、建物の築年数が当初の説明と違うことが判明しました(1996年竣工の建物であったが、契約前の重要事項説明で2000年竣工と説明を受けました。)。
原因は仲介不動産会社のミスで家主には特に落ち度はありません。入居者は築年数を物件選定の基準としており、今回の件については話が違うとして賃貸借契約を解約するとともに、仲介会社に対し、支払った仲介手数料と2ヶ月分の礼金の返還を請求したいと考えておりますが、入居者の請求は認められますか。
賃借人の過失による漏水と損害賠償の範囲
質問:私は、マンションを賃借していましたが、昨年の11月末で退去する直前に私の不注意で貸室内で漏水事故を発生させてしまいました。賃貸人がすぐに応急措置をして、私が昨年11月末で退去した後、約3週間をかけて補修工事を行いました。
私は、保険で当該補修工事の費用を負担しますが、賃貸人からは、壁や床の交換工事に3週間もかかったし、その間入居したいというお客も断っており、これからまた募集しなくてはならないということで、約2ヶ月分の賃料も損害賠償金に加えて欲しいとの請求を受けています。
私は、2ヶ月分の賃料も損害賠償として負担しなければならないでしょうか。
賃借人の失火と損害賠償の範囲
質問:Aさんが賃借していた木造の共同住宅で火災が発生しました。火元はAさんの部屋です(原因についてはハンガーラックに設置されていたグリップ式白熱電球に衣類が接触して着火したもの)。Aさんの住んでいた部屋は全焼し近隣の部屋は煙、消火活動による損害が発生しました。この事例で、当然のことながら、Aさんは、賃借していた部屋の原状回復のための費用を損害賠償しなければならないと考えますが、近隣の部屋、その他共用部分、例えば廊下の手摺の修理やエレベターの修理、その他の設備関係の修理費用等についても損害賠償する必要がありますか。